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 狼の間の掃除というのか、手入れというのか、とにかく大掛かりな作業を始めたジャブラはカリファ辺りから貰ってきたゴム手袋をしていた。ジャブラ自身は手が汚れようが爪の間に土が入ろうが構わないのだが、その汚れを落ちきらない手で触れられることを嫌がる猫がいるのだ。
「つーかよぉ…、見てねぇで手伝え、化け猫!」
「お前の部屋だろう…俺には関係のないことだ」
「ポッポー」
 ハットリと一緒に傍観者となっているルッチ。まるでこの部屋の主人のごとくふんぞり返って、ジャブラの仕事振りを見ている。
「チクショー!」
 ぶつぶつ言ってはみたものの、結局、ルッチに好きなように弄られるのも嫌なのでジャブラは自分で片付けることを選ぶのだが。

 作業を始める前の準備段階ですでに時間を浪費しているジャブラ。ルッチはもう作業の進行は望めないと思ったのか、ハットリと楽しい一時を満喫中だ。それが癪に障って、ジャブラはちょっとしたイタズラを思いつく。
「ルッチ…」
 まだ汚れていないゴム手袋をした手でルッチの髪を軽く撫でる。そして首筋に触れ、喉元を辿る。ジャブラの行動にルッチは眉を寄せたが拒みはしなかった。その動きはルッチの好きな動きだからだ。

 「どうだ? 俺の手じゃねぇみたいだろうが…。興奮するか?」
 掠れた低い音でそっと囁き、笑うジャブラ。けれどルッチは不思議そうに首を傾けて振り返ると…。
「…お前の手じゃないのに、なぜ興奮する必要があるんだ?」

 「…ルッチ…」
 言葉を失うジャブラにルッチは追い討ちをかけていく。
「今度は耳を塞ぐか? それとも目隠しをするか? お前の声も顔も見えない…。それはそれで面白いが、お前じゃないなら興味はない」
「お前…ずるいぞ、エロ猫め!」
「話が見えん。いいから貴様はさっさと土でも弄ってろ、野良犬」

 甘やかしてはくれないけれど、お楽しみはあるようだ。俄然やる気になったジャブラを眺めて、ルッチはふっと息をもらして笑みを溢した。




ルッチの愛情ベクトルにドキドキしてしまうジャブラ。
ジャブラは、ジャブラなのにいつもと違う〜vvみたいな反応を期待。
ルッチは、ジャブラじゃないならそれは必要ない、と判断。
温度差があるような、けれどどっちも沸点越え。
2007/04/06籠城

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